こんにちは。ニックです。
本ブログではエンジニアの資産形成に向けた情報発信をしています。
本記事では収入アップの手段の一つである資格取得のうち、特に技術士の資格取得によるメリットを紹介します。
エンジニアの分野は多岐に渡りますが、ニックと同じ土木分野の技術者にとっては、技術士は最もコスパのよい資格であり、技術士の資格取得のメリットは非常に大きいと考えています。
本記事を読むことで、技術士資格を取得すると決めた方にとっても、モチベーションを維持・向上させたり、自分にとって本当に必要な資格かを考える機会になるかと思います。
※ 記事公開後に考えたことを、文末(9.追記)に記載しました。(R4.12.22追記)
本記事では次のような人を対象としています。
本記事を読むことで次のようなことが確認できます。
それでは、具体のメリットについて説明します。
資格手当の付与
資産形成の面からは最大のメリットになります。
資格手当ににより給与が底上げされます。手当は会社によって異なりますが、1~3万円/月くらいの会社が多いようです。
仮に2万円/月として、年間24万円の不労所得を株式等のペーパーアセットから得ようとすると、保守的に4%の利回りであれば600万円の資産が必要です。資格手当が支給される会社ならばそのぐらいの恩恵が得られるということですね。
受験資格が得られるのは最速で27歳ですが、仮に30歳で取得したとした場合、生涯の支給額は2万円/月×12カ月×30年=720万円の手当が得られることになります。これを30年間、利回り4%で運用すると以下のように1381万円になります。中々、馬鹿にできません。
↑金融庁資産運用シミュレータによる試算結果
資格手当は技術士登録がなされ、給付申請が受理されたのちに支給されるので、合格するのは早い程、その恩恵が大きいといえます。
2.以降のメリットについても、若い程、その恩恵が大きいものが多いです。このため、技術士資格の取得は早ければ早い程良いです。受験資格が得られる前年くらいから計画的に取得準備をするのが良いと思います。
民間であれば、多くの会社は合格すれば試験費用・登録費用は負担してくれますし、合格に対して一次手当が支給される会社もあります。
なお、公務員には資格手当はありませんので、給与面でのモチベーションが上がりにくそうです。
資格取得を通じて得られる知識と能力
技術士試験を受験するのはいわゆる中堅以上の技術者ですので、ある程度の技術的な知識はお持ちの方ばかりですが、受験する分野全体の課題(建設部門であれば国土交通行政全体の課題)、ひいては国家としての課題を俯瞰する機会というのは、多くはないのではないでしょうか?
技術士試験は各分野を所管する省庁が考える課題と方策を回答する試験ですので、全体を俯瞰した視点での情報収集が必須になります。これらの情報は受験分野における今後10年20年を見越した情報であるため、受験後しばらくの間は業界全体の課題を把握した状態で仕事を進められるようになるでしょう。
また、小論文を書く機会というのも、普段の業務の中では多くないと思います。技術士試験での小論文の作成練習を通じて習得できる知識・技術は色々と応用できる機会が多いと思います。
(私の例:コンクリート診断士の論述試験、学術記事投稿、学術論文執筆等に役立ちました。)
仕事の領域の拡大
建設部門に限っての話になりますが、土木業界では公共事業に関連する調査設計業務を調査設計コンサルタントが受注する際に、業務のチームリーダーともいえる監理技術者に求められる資格の一つとして技術士が指定されます。
また、一般競争契約やプロポーザル契約等では、多くのケースで監理技術者の保有資格が採点項目の一つとされており、技術士の点数が最高点とされている場合が多いです。このため、他の資格でも代替はできるものの、監理技術者になるために必須に近い資格と土木業界では認識されていると思います。
つまり、コンサルタント業務に従事する技術者の場合は、技術士を取得することで担当技術者から監理技術者へステップアップすることが可能になります。これにより、マネージャーとしての業務経験をスタートすることになります。
社内評価の向上、昇格条件のクリア
2.の要件であることや、民間では技術士を保有する技術者の人数等によって、会社としての技術力を定量的に評価される場合があるため、技術士の資格取得が個人のみならず会社の評価にも影響します。このため、資格所得者には一定のインセンティブが与えられるのが一般的で、技術士の資格取得によって社内評価が向上します。
また、会社によっては、昇格条件の一つとされます。管理職になることが必ずしも給与の増に繋がらない場合もあるようですが、そのような会社の場合、転職活動も視野に入れれば、給与の向上には繋がるのではと思います。
転職時の優位性
『持ってても持ってなくても変わらない』という類の資格ではないので、転職の際には有利に働くケースは多いと思われます。特に土木業界は、2010年代以降で人不足の状況が続いており、有資格者のニーズは高まる一方です。
twitterを徘徊すると「資格取得を登録した途端にビズリーチからのオファーが激増した」といったツイートもあり、有資格者の需要は以前よりも大きくなっていますね。
転職試験でも透明性を求められる時代なので、一般的には保有資格が採点項目に定められていると思います。この場合、監理技術者の評価を参考に技術士は高い評価点が付くと思われます。(内外から評価時のエビデンスを問われた場合に、説明が簡単なので)
仮に、保有資格についての採点項目がなくとも、面接官の立場で考えれば、甲乙つけがたい二人の選定で保有資格に差があるならば、『技術士を持ってる方』が当然採用されます。というか、1~2回の面接で本質を見抜くのは難しいので、多少面接の出来が悪くても、資格で逆転評価はあり得ます。(少なくとも私が面接官ならそのように評価します。)
そもそも、民間に転職する場合は、職種・年齢・希望ポストによっては、技術士を保有していない時点で『門前払い』となる場合もあるでしょう。
勿論、資格はなくとも優秀な方はいらっしゃいますが、建設業界では技術士資格は一人前の証というか、普通免許みたいなところがあるので。。。(公務員なら職務上は不要ではありますが、最近は管理職前くらいに取得される人も多いようです。)
維持費が不要
資産形成をテーマとする本ブログとしては、この点は外せません。
他の民間資格(土木学会認定技術者、コンクリート診断士等)では実質2000~3000円/年の費用を徴収する資格が多い中で、技術士は実務的にも社会的にもそれらの上位互換となる資格であるにもかかわらず、資格の維持費がかかりません。
ここまでに書いたとおり、非常に多くのメリットを有する資格であるにも関わらず、資格を保持するための維持費が不要なのはありがたいです。
CPDを確保するための費用が必要ですが、サラリーマンだと個人で負担することは殆どないのではないかと思います。
学位(博士)も同じく維持費は掛かりませんが、取得に要する費用、労力が桁違いなので、技術士は圧倒的にコスパの良い資格といえます。
私は業務の都合上、コンクリート主任技師、コンクリート診断士の資格を取得していますが、これらは維持費が掛かるので今は放置しており、結局、維持費のかからない技術士と学位(工学博士)の二つだけが保有資格として残っています。
お金は大事
自己肯定感の向上
合格率が全体で10%という難易度の高い資格であるため、合格時の喜びはやはりひとしおです。
資格が技術力を証明するものではないと分かっていても、嬉しかったです。
『俺はやれば出来る男やったんや』と自信を高めることができました。
おまけですが、名刺に『技術士』を刻めるのは嬉しいですよね。
私も資格登録後、すぐに名刺を作り替えました(笑)。
初めて技術士の資格を刻んだ名刺を作った時は、なんだか一人前になったような気がして嬉しかったのを覚えています。
「これが一番のメリット」という友人もいました(笑)
まとめ
以上、技術士の資格取得のメリットについて記しました。
メリットの一覧を以下に再掲します。
いかがだったでしょうか?
資格取得のモチベーションのアップにつながったでしょうか?
私の個人的な感覚ですが、建設業界で働きつつ資産形成を進めたいなら、業種にもよりますが最も費用対効果の高い資格だと思います。
また、技術士の資格取得は早ければ早い程が良いです。
ライフイベント的にも20代後半~30代前半は比較的時間がある人が多いので、この時期に勉強する習慣を身につけるという意味でも早い段階で取り組めば、資産形成の面でも一助になると思います。
とはいえ、資格取得に要する時間も長くなりがちな試験です、本サイトでは効率的な勉強方法も紹介していますので、それらも参考にして頂ければと思います。頑張りましょう。
他にも『こんなメリット、デメリットもありますよ』といったご意見がございましたら、今後の参考にメッセージを頂けると幸いです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
追記(R4.12.22)
最近、ツイッターで発信しているうちに、思うことがあったので追記します。
この記事の中で、技術士のメリットとして色々と書いたのですが、『なんか違う』という引っ掛かりがありました。
それは、私自身は『技術士を持っていても技術力の証明には全くならない』と思っているのに、技術者の登竜門的な資格のような記述をしていた部分があったからです。(最初の投稿記事では↑の私の考えを記載していたので特に引っ掛かりはなかった。)
多くの人が感じているとおり、技術士資格を持っていても『う~ん、、、』という方も沢山見てきましたし、技術士資格を持っていなくても信頼できる素晴らしい技術者を沢山見てきました。
正直、私自身は技術士資格は「試験をパスするための情報(国土交通白書等)と論文作成の技術を習得している」程度にしか思っておらず、実務能力は別物と感じています。
この様な自分の本心と本記事で書いていることに乖離があることで、『何か違う』と引っかかっていたように思います。
ただ、本記事で書いたとおり色々とメリットのある資格であることも事実です。
資格手当が出る会社なら、有料のセミナーを受けたとしても1年もかからず回収できるでしょうし、蓄財には役立ちます。コンサル勤務なら監理技術者へのステップアップの用件ですし、、転職時に有利になるというのも事実です。自己肯定感が得られたという記述も経験に基づいたものです。
身も蓋もない言い方をしますが、『技術士資格は技術力の証明にはならないが、人生のチートボタンみたいな側面がある』ということです。
結局何が言いたいのかと言いますと、『資格取得は出来るだけ楽をして早めに終わらせて、業務を通じて技術力を高めることに注力できると良い』ということです。
特に発注者や公務員では、組織としてのバックアップやノウハウの蓄積がない場合が大半なので、優秀な方でも、資格取得にご苦労されたようなお話を聞くことがありました。
そういう人たちに少しでも、受験勉強を開始する前に読んで頂ければ試験勉強に回す時間を減らすための助けになれば良いな、という思いもあり記事を書いています。
分かりにくいところも、色々あるかと思いますので、『ここが少しわかりにくい』とか『ここをもう少し詳しく知りたい』などのご要望があればご連絡いただければと思います。
※ ツイッターのDMでも結構です。