ドル建終身保険を解約した

資産管理

先般(令和4年11月初旬)、ドル建終身保険を解約しました

ドル建終身保険を含む外貨建保険は、投資と保険を組み合わせた商品の一つで、マネーリテラシー向上系のウェブサイト等においては、「家計圧迫の諸悪の根源」みたいな扱いをされています。

このため、外貨建保険は通信費と並んで固定費削減の筆頭候補に上げられています。
(外貨建保険に限らず、円建でも保険と投資を合わせた商品全般がお勧めされていません。)

一般にはドル建終身は入った瞬間に赤字が確定するみたいな言われ方もされますが、2022年11月初旬では超円安基調だったため、今回の解約では円換算では60万円程度の為替差益が得られました

本記事では私が契約に至った経緯、解約決断から最近まで解約を先延ばししていた理由、このタイミングで解約した理由、外貨建保険の解約を迷っている人への助言、などを綴ってみようと思います。

経験談の類いなので、読み物の一つと思って読んで貰えればと思います。

本記事の主な対象

➀ドル建終身保険の解約に躊躇している人
②ドル建終身保険をいつ解約しようか迷っている人
③特に、上記の迷いの要因として為替変動が大きな理由になっている人

本記事から得られる知見(?)

➀ 解約のタイミング(=いつでも良い、一般的には早いほど良い)
② 解約手続き前に準備した方が良いこと(=外貨預金口座の開設)


本記事のキーメッセージを最初に記載しておきます。

これから資産運用を始めて行くようような人は多額のドル資産をもっている人は少ないでしょうから、大多数の投資初心者(=今後、ドル資産の割合を増やしていく人達)にとっては、
『基本的には為替は気にせず、すぐに解約することで良い』というのが、今回の経験を踏まえた私の結論です

以下に、経緯等の詳細を記載します。
終盤に、解約するとき、若干お得になる情報も記載していますので、興味があれば読んで頂ければと思います。

外貨建保険を契約した経緯

  • 私の契約していた保険内容は以下のとおりです。
  • 保険会社:ジブラルタ生命(旧エジソン生命)
  • 支払い期間27年間(60歳まで)
  • 加入時支払い額約1.0万$、月支払額88$
  • 死亡時払戻金10万$ 満期支払額約3.8万$
  • 満期前年払戻率95.4%
  • 満期払戻率139.5%
  • 満期以降払戻金の増率=+3.5%/年 (←加算です。)

満期まで維持すればかなりの利率が確保でき、76歳迄持てば、返戻率が200%となり、この間(46年間)の平均利回り1.5%という商品です。
インデックス投資を知った今、為替リスク、資金拘束を加味すると、とても良い商品とは言い難いのですが、加入当時は、銀行金利は0.1%以下の状況でしたから、死亡保障を確保しながら、貯金するより遥かに大きい利息が得られると満足して加入したものでした。
今でも『ゴミ』と言われるほど粗悪な商品だとは思わないのですが、問題はこの内容の保険に2本入っていたことです。

一度、納得すると、そのあとは余り調べることもなく、2020年まで時は流れます。この間、天引き貯金の意識で(約12年)、月々176$の保険料を払い続けていました。

解約を思い立った経緯

結婚から10年が経過し、家計状況は徐々に変化していきました。結婚後、2人の娘を育てつつも徐々に貯蓄額は増え、遺族年金と併せれば2本の死亡保険は明らかに過大といえる状況になっていました。

そして、令和元年にIndex投資に出会ったことを機に、令和3年4月頃から外貨建保険の見直しを真剣に考えるようになりました。

令和3年5月に、別口で契約していた学資保険を解約しましたが、12年積立した終身保険については以下の理由から、解約をためらっていました。

  • 契約時に入金した約1.0万$は超円高のタイミングだったこと。
  • まとまった$建資産が他になく貨幣分散の視点ではドル建資産は保有しておきたかった。
  • 解約払戻金は円換算で若干のマイナスになること。
  • 円資産(預貯金)をドル資産(Index投資等)に置き換えるのに3~5年程度の時間分散をすること見込んでいたこと。
  • 上記の置き換えの間、保険料の支払いを継続してもキャッシュフローに問題はないこと。
  • R2年時点では為替がやや円高基調にあったこと。

そこで、当時は次のように考え、当面は支払い継続する判断をしました。

『当面は積立を継続し、$資産の比率が50%を超えた後、円高になったタイミングで1本を解約する。』

あざラッシー
あざラッシー

(損切りがイヤだっただけじゃ・・・?)

そうこうしている間に、今年の上期から急激な円高基調が訪れました。
5月には1$=130円を超えて、あれよあれよという間に1$=150円を目指す展開に。

とはいえ、、、個人的には少し過熱感がある気もしており、そろそろピークをつけるような気もしていました。

また、$が高すぎて$転しにくい状況の中で下落相場に資金投下するための$がほしい状況でした。
これらの諸々の理由から、解約手続きを行いました。

  • 支払済額=約2.2万$
  • 返戻額 =約1.8万$
  • 返戻率 =82.3%
  • $平均取得単価=95円/$
  • 返戻金の$平均取得単価(返戻率考慮)=115円/$
  • 円換金した場合の損益:約60万円の利益

115円/$の取得単価で新たに1.8万$相当の$を仕入れる事ができました。
どこかのタイミングで円高に反転するとは思いますが、

  • 当該レートは標準的な$円レートの内数(やや高いが)
  • 日本の長期金利も上がる見込みは薄い
  • 深刻なリセッションが生じない限り、来年度いっぱい米国の金利は高止まり
  • 反転したとて、日本の長期金利が低いままであれば、その影響は限定的
  • 株価はリセッションに陥ると反転する傾向がある(通常やや手前で反転する。)

これらを勘案すると、一端、円買いして利確した後、$安になるのを待って$を買い直してエントリーすると、リセッション直前の株価上昇局面を取り逃す可能性が大きいと考えられるすなわち、今後の株式市場は下落相場から反転するという予測をして解約しました。

解約タイミングについて

とまあ、色々書いてしまいましたが、、、よくよく考えてみると

  • 2年前に解約しても、$としての返戻率は大きく変わらない。(2割弱毀損する)
  • $で返戻金を受け取り、放置していれば為替の影響でプラスになっていた
  • 市場にさらしていれば、平均的には$上昇の他、株価上昇の影響も見込めた。
  • (実際は暴落したので、投資すると減っていたのですが、これは偶然)
  • どうせ$資産として投資するのだから、早いほうが複利効果も分散効果も得易い(平均的には)。

というのが正解です。
すなわち、解約後もドル資産として運用するなら、為替を考慮して解約タイミングは読む必要はないこと、投資に対する機会損失まで考慮するならば基本的には、思い立ったら解約で良いと思います。

解約前に準備したほうが良いもの(重要!!)

解約するときは、$で受け取る場合には外貨預金口座が必要になります。このため、事前に口座開設を行い$受取で解約申請しましょう。

私が利用している住信SBIネット銀行であれば、通常の口座開設時にまとめて開設できました。住信SBIネット銀行はSBI証券とのセット運用に必須ですので、これから投資を始めようという人にはお勧めのネット銀行です。

何も言わないと円で受領することになるのですが、法外な為替手数料(私の場合1円/1ドル)が取られます。なお、私は$で受け取りましたが、5000ドル分は返戻金との差額分を差し引くために円転して利確し、残額を投資に回すこととしました。

三井住友SBIネット銀行ならば、為替手数料は3~25銭/1ドルです。仮に円転して為替差益を利確したい場合でも、自分で買い付ければ手数料が1/4(25銭/ドル)になります。(今回のケースでは最大1万8000円の為替手数料が1/4に圧縮できます。)

三井住友SBIネット銀行を開設すると、外貨預金口座もまとめて開設できるのでお得です。

なお、外貨預金口座等を開設するのであれば、ポイントサイトを経由すればお得です。

私は、投資を始めるにあたって、証券口座、ネット銀行の開設と楽天カード、三井住友カードをポイントサイトを経由したので、一人あたり2~3万円、妻と併せて5万円相当のポイントをもらうことができました。このポイントとは別に楽天ポイントとVポイントもそれぞれ、一人8000円もらうことが出来たので、総額では割と馬鹿にできない金額のポイントがもらえました。

それ以降、ポイントサイトは利用はしていませんが、どうせ必要な証券口座等を開設するのならポイントサイトを経由することをおススメします。

ポイントサイトを経由が面倒だったり、個人情報の登録先を減らしたいといった考えの方もいると思いますので、その場合は直に登録することでも良いかと思います。

まとめ

本記事では、私がドル建終身保険を契約してから解約に至った経緯を例に、解約についての考え方をまとめてみました。

私の場合は為替差益がたまたま乗っていましたが、ドル資産として運用する気であれば、解約時点の為替差益は全く関係ないといえます。
(寧ろ差益が50万円以上であれば課税対象となるので、ドル資産のまま運用するなら、解約時点の為替差益は50万円以下の方が望ましいかも、、、差益が大きくなければ関係ないですが。)

一方で、円資産に戻したい人にとっては、円安時が解約の絶好のチャンスといえます。

本記事が、ドル建保険の解約に悩んでいる人の後押しになるのであれば幸いです。

(追記:2022/11/28,2023/6/20)

11月中旬の米国消費者物価指数(CPI)の発表を受け、円高ドル安方向に動き、2022年11月28日現在、1$=140円を割り込んできました。自分は18,000$の解約金のうち、5,000$を円転して6,000$を投資に投下して残額,7000$が外貨口座に残っている状況です。(円転しておけば良かったか。)

何となく、米国のインフレも底打ち感が出てきており、黒田総裁交代後の利上げも噂されているので、円高に戻ってくるのかも知れません。為替は上げ下げを繰り返しながら、徐々に120円台まで戻ってくると想定しているので、今度140円台を付けたタイミングで一度円転する予定です(最終的に140円弱で5000$分を利確しました[11/30] )。

その後、日銀が長期債金利目標を引き上げたことで、一時は1$130円を割り込みましたが、植田新総裁が日銀の当面の運用は変えない方針を打ち出して再び1$140円を超えて円安が進みました。

資産を頻繁に入れ替えするのは良くないと言いますが、今回に限っては円転した後、結局132-131円のレンジで$で買い戻しているので、多少うまみがありました。(スケールが小さいので僅かですが。)

為替の世界は、どこが正解かはわかりませんが、2022年初頭に比べればかなりの円高なわけで、円転するなら相対的に良い時期であることには変わり在りません。$建の保険をお持ちの方は、暫くは解約のチャンスが続いていますが、2023年末~2024年の利下げのシーンでは円高に振れなおすでしょうから、今のうちに解約を考えておいた方が良いと思います。

 解約返戻金を$で受け取るなら、解約タイミングは関係ないことは改めて申し添えておきます。

保険の解約は最終的には自己判断で行うものですが参考情報として追記しました。

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