『0秒思考』のトレーニング効果

本業

こんにちは。ニックです。

『0秒思考』という書籍をご存じでしょうか?

著者の赤羽雄二さんがご自身のご経験から編み出した「0秒で思考するための技術」を得るための訓練方法を記した書籍になります。

この書籍は多くのYoutubeやblogで取り上げられた名著なので、知っている方も多いとは思います。私は2021年に中田敦彦さんのYoutube大学にて紹介されているのを見て、一度実践を試みたのですが、その時は見事に三日坊主に終わりました。

2022年11月1日より再トライし、現時点で2カ月間ですが無事継続できております。

継続2カ月の時点でも、目に見えた効果も確認されており、素晴らしいトレーニングであることを実感しているところです。感想を一言で述べると『絶大な効果を感じる』です。

人にお勧めしたい思考トレーニングだと感じています。

一方で、実際に実践してみた感想としては、継続するには、書籍で紹介されている程簡単じゃない部分もありました。

継続の為に自分なりの工夫やアレンジもしており、それが功を奏して継続できているということがあります。

そこで、本記事では、私が実感している効果や、トレーニングを継続するためにやってみたことなどを紹介してみたいと思います。

また、このトレーニングの技術士二次試験の筆記試験の訓練への相性もおまけとして紹介します。

本記事から得られるもの
  • 0秒思考トレーニングを継続させるためのコツ
  • 0秒思考とのシナジーの高い活動
  • 技術士試験勉強との組合せ(おまけ)

それでは、具体の説明をしていきます。

書籍紹介『0秒思考』

著者の赤羽雄二さんが考案した思考の「質」と「スピード」を向上させるための独自の訓練方法を記した書籍です。

紹介される方法は極めてシンプルで、A4用紙に1枚1分で10枚/日のペースでメモを作成するというものです。

この訓練により「考える力」が得られ、その結果、心のコントロールの達人となり、ストレスや不安、恐怖が軽減され、明るく前向きに生きることが出来るようになる、とのこと。

2013年12月が初版で10年近く前から読み続けられている名著です。

60日間の実践後に感じた効果

令和4年11月1日から実践を開始し、年末の段階で60日間の0秒思考トレーニングを実践しました。
実践を受けて、私が感じたトレーニングの効果は以下のとおりです。

  1. 悩みが整理される
  2. ネガティブな感情を引きずらなくなる
  3. 内省の深化と高速化
  4. 改善・成長の為のアクションが明確になる
  5. 応用範囲が広い (ToDoリスト、PPT下書き、論文骨子、ロジックツリーなど)

詳細は以下に列記しますが、絶大な効果を実感しています。書籍に書かれていたとおりでした。このトレーニングは今後も絶対に継続します。

(1)悩みが整理される

実際にやってみると分かるのですが、似たような設問を何度となく設定することになります。
私の場合、子育て、家庭内コミュニケーション、ビジネスコミュニケーション、あたりはそれぞれ、深堀も含めて70回~100回程も設問に上がっています。

自分のメモを読み返すと『こいつ、いつも同じことで悩んだり、反省したりしてんな、、、』という感じです。

そして、100回も同じ思索をしていると、流石に頭の中も整理できますし、反省点や改善方法なども繰り返しメモに残すことになるため自分の考えが確固たるものになっていくのを感じるうようになります。

出来る出来ないは別として、あるべき姿とそこに至る為の取組は明確になるので、あとは丁寧に行動を積み重ねるだけだな、、、という気持ちになります。

(2)ネガティブな感情をひきずらなくなる

『あの時、何故、●●な態度をとったのか』『なぜ〇〇のことが嫌に思うのか』など、普段は口に出して言語化しないことを、言語化することにより、自分の行動、言動の理由について精緻な分析が出来るようになります。

やってみるとわかるのですが、他人に対するネガティブな感情も、原因を探ると自己責任の範疇であったり、自己改善により解消できるのではないかと思える場合も多く、ネガティブな感情にひきずられることがなくなりました。コレはものすごい効果だと思います。

(3)内省の深化と高速化

(2)とも関連するのですが、コミュニケーションにあたって、引っ掛かりを感じた際に、『なぜ、そう感じるのか?』『なぜ、〇〇な行動をとったのか?』などを言語化することで、自分の課題が浮き彫りになります。

近い例でいうと、先般、関係機関との打合せ時に、落としどころを探る際に互いに譲らず雰囲気が悪くなったことがありました。内省すると『先に理解に徹し、相手の言い分を理解する』ことがお互いに不十分だったことが浮かび上がりました。

こういった、普段は言語化することの少ない、コミュニケーションの不具合についての原因究明を、メモ書きすることで、極めて短時間で言語化し、原因分析と対策検討が出来ることに気が付きました。

私は数年前から日記をつけており、同様の内省は日記でも行うことが出来ていたのですが、メモ書きで時間を区切って実施し、ロジックツリーの形で整理ができるので、内省の深さと速度が段違いに向上しました

この気づきは私の一生を左右するほどの気づきになると確信しています。

(4)改善・成長の為のアクションが明確になる

この結果、あらゆる課題解決や自己成長の為のアクションが明確になるので、モヤモヤしたまま行動が先送りになることが減りました

逆に、具体なToDoはあるが行動する時間が不足する、という状況に陥っています。

(経験済のは外注するとか、選択肢はあるので、やりながら調整ですね。)

(5)応用範囲が広いToDoリスト、PPT下書き、論文骨子、ロジックツリーなど

記載のとおりですが、非常に応用範囲が広いです。

おまけですが、実践にあたっては、紙を使う人と、GoodNote5などのタブレットアプリを使う人、がいますが、応用性が高いのは紙、保存がし易いのはタブレットです。

私の場合はPPTや原稿の下書きとして使う場合、紙を机に並べてPCで作業する方が使い易いと感じたからです。電子で保管したいなら、写真に撮ってしまっても良いですしね。

なお、仕事に関しては0秒思考とまではいかなくとも、手書きメモで1日、1カ月、四半期、1年のToDoを定期的に書き出す習慣や、仕事を進める前に方向性を折々で手書きメモで事前相談する、などの習慣は昔からあったので、仕事のやり方が劇的に変わったということはありません。

継続のために考えたこと

(1)1日10分でトレーニングを終えることは難しい

1枚のメモ作成を1分で行うようにトレーニングする。1日10枚の訓練をするので、『1日10分のトレーニングで大きな効果を得られる』というのが本書の売りでもあるわけですが、私の場合、全然これは出来ていません。

日によっては10枚のメモ作成に30分近く掛かることもありました。慣れてきた今でも、10分での作業枚数は5~8枚なので、15~20分程度の時間を要します。

※ 書籍の中で著者も「最初は難しい」旨の記述はされています。

この『全く時間がたりないが、自分だけがそうなのか?』という点が気になったので実践報告をしているYoutube番組をいくつか視聴してみましたが、全ての実践者が『10分での実践は難しかった』旨のの報告をしていました。10分では時間が不足する理由は次のとおりです。

10分では時間が不足した理由
  • 設問、日付を記載する時間が1分に含まれる(テーマが長いときつい)
  • 設問んを考えるのに時間が掛かる
  • 設問に対する回答に、深堀したい項目が含まれた場合、1分超えたという理由で終えられない
  • 回答の記載に筆記速度が間に合わない

3ポツについえては、書籍の中では、『1分経過したら終わらせる』ように指導がありました。ですが、実践してみると、半端な思索状態で終えるのは勿体ないという気持ちが強くでるので、中々キッパリ終了するのは難しいです。(特に重要度の高い内省を試みるテーマの場合には。)

私は朝活の時間の一部を使ってメモ書きによる0秒思考トレーニングをしていたのですが、以下に記すような対応をすることで60日継続することが出来ました。

(2)トレーニング継続のための工夫

私は普段、朝5:00~6:45を朝活の時間に充てています。

このうち、5:00~5:30の30分は、①瞑想10分 → ②家事・アファメーション10分 → ③日記10分 のルーティンを行い、6:15~6:45の30分は朝散歩やトレーニングに充てています。

普段は5:30~6:45の45分で、論文や講演資料の作成、blog執筆、講演資料の作成、などを行っていました。この45分に0秒思考トレーニングの20~30分が割り込んできたわけです。

習慣化するまでの期間と言われる3週間の間は確実に時間がとれる朝活中に実施していたのですが、この間は執筆活動か運動の時間が取れなくなるという日が頻発しました。

『何かを始めるためには、何かをやめる必要がある』を実感したところですが、0秒思考トレーニングの絶大な効果を実感し始めていたので、これは絶対に継続する必要があると考えました。

そこで、以下の対応を取ることで、朝の執筆時間も確保しつつ、0秒思考トレーニングの継続を続けています。

継続のための工夫
  • 1日10枚のノルマには拘らない
  • キリの良いところで10分を超えていたら終了する
  • 設問は、スキマ時間で事前にリストを作っておく
  • 課題抽出&対策案 を2題/1枚 でセットにする(設問を書く時間の省略)
  • トレーニングのタイミングを朝活に限定しない
    (仕事関連の設問も多いので、それらは仕事中も可とする) 

『0秒思考トレーニング』とシナジーの高い活動

前述しましたが、定量的な評価が難しい『内省』との相性は非常に高いです。
特に、ネガティブな感情を薄める効果は極めて高いです。

このため、「7つの習慣」にあるような人格向上の為のアクションプランを実践ている人にとっては組み合わせることで、その習熟速度に大きく差がでるように思います。

私はこの2カ月で自分の中でも、このトレーニングを通じて徐々に変革が生じているのを感じています。

また、一般的な業務管理にも勿論有効だと思います。

私の場合は、仕事に関しては元々『0秒思考』に近い仕事のやり方をしていた(課題をその場で洗い出して、対応は即決できるものは即決し、走りながら調整する。)ので、極端に何かが改善したということはないのですが、使っていなかった人には効果があると思います。

どちらかというと『0秒思考』そのものよりも、『0秒思考』で組んだ課題対策の方針を多面的に『0秒思考』で捉えなおすことと、他の人の意見を聞いて、こまめに方針転換を行うことの方が大事かも知れません。

技術士試験勉強との相性(おまけ)

技術士試験の勉強との相性はそこそこ高いと思います。

というのも、技術士の論文試験では、論文を作成する前にその目次構成にあたる「骨子」を作成します。その骨子作成の速度が『0秒思考トレーニング』をしていれば向上するからです。

ただし、骨子の良し悪しは、各人の知識量と骨子作成のノウハウを知っているかどうかにも大きく影響を受けるので、『0秒思考トレーニング』をしたら良い骨子が作れるという訳ではないですし、劇的にその速度が上がるかというと、その人の地の技術力や、訓練開始時点の慣れ具合によると思います。

私は元々、0秒思考とまではいかなくとも頭の回転速度を上げる訓練はしていたので、0秒思考の訓練後に骨子作成速度が速くなるという感覚はそこまでありませんでした。

個人の感想ですが、もしも骨子を作成するのに時間が掛かっている人には効果があると思います。一方、既に骨子を短時間で作れているひとにとっては、これをすれば合格に近づくという程の効果はないかもしれません。

『0秒思考』の弱点

『0秒思考』を褒めちぎってきましたが、弱点が全くないわけではありません。

著者のいう、以下の意見は一理あると思います。

  • 『長く考えれば良いアイデアが浮かぶわけではない。』
  • 『長く考えても同じ考えがグルグル回って解決に辿り着かない人もいる』

一方で、人間の思考にはギアのようなものがあり、『頭の回転を速くすると思考の深さが落ちる』ような特性があると私は感じています。0秒思考のようにポンポンと考えるのは『高速ギア』の状態であり、ブレインストーミングの初期段階には良いのですが、この段階の思考で終えると非常に浅い状態で終えることになります。

このため、配慮が必要な対人コミュニケーションにおいては『0秒思考』の癖が出てくると注意が必要かも知れません。(私は普段人と話をするときは、敢えて思考の回転速度を少し落とすようにしています。)

ただし、この弱点は対人コミュニケーションの時だけです。

この弱点を克服するのに、著者の赤羽さんは、紙に書き出した内容について、さらに深堀することを推奨されています。人と話すわけではないので、段階的に課題の深堀ができ、グルグルと考えが回って良く分からなくなるという状態も回避できます。

こうして、改めて文字にすると、一人で考えてみるという思考法の中では、やはり非常に優れた思考法だなと感じました。

ちなみにYoutube大学では『マッキンゼー式』と紹介されたり、書籍の帯に『マッキンゼーで14年活躍した著者の独自メソッド』と記載されて、あたかもマッキンゼーで編み出されたかのような錯覚をうけますが、この思考法は赤羽さんのオリジナルの思考法です。これは凄いですよね。

※書籍の帯も「独自メソッド」との記載なので事実なのですがミスリードを誘ってますよね笑

まとめ

以上、『0秒思考トレーニング』を実践した感想を綴ってみました。

実際に60日間実践してみて、1日10分で済むかというと、なかなかそうはいかないとは思いますが、それでも継続することで大きな恩恵が得られるだろうことは間違いないと思いました。

大人だけでなく、中高生を含むあらゆる世代の人にお勧めできる思考法のトレーニングだと思います。子供たちが小学生の高学年くらいに成長したら絶対に伝えようと思っています。

興味を持った方は是非、試してみてはいかがでしょうか?1週間程やってみて、良さそうだと思ったら書籍を買って具体に調べてみるくらいの軽いノリでスタートするのが良いと思います。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

(おまけ)

本記事の構成についても、0秒思考のトレーニング方法で作りました。

これまでも、技術士試験の論文同様に骨子を作成してから、記事の執筆を行っていましたが、その作成作業を0秒思考トレーニングに置き換えたような形です。
(1枚1分ではないですが、時間を計って作業するのでスピードは上がりました。)

改善の余地はありますが、悪くなかったように思います。



お問い合わせ

    タイトルとURLをコピーしました