こんにちは、ニックです。
本日は、住宅ローンを組む時にに最初に検討するであろう、固定金利か変動金利かという問題について私が辿り着いた考え方について紹介します。
最初に結論を述べると「多くの人にとって住宅ローンは長期固定金利で組むべきである」となります。
この理由は以下の2つです。
1. 住宅ローンで変動型を選べる人(=不利になったら一括返済できる人)は限られている
2.一括で返済できる人でも、教育資金などのために手元資金を残したい人は固定の方が良い
これらについて、本文で深堀していきます。
変動金利と固定金利
変動金利と固定金利の違いは、将来の金利変動リスク(主に金利上昇に対するリスク)を金融機関と債務者のいずれが負っているかの違いになります。
固定金利は金利変動リスクを金融機関が負っているので、変動金利に対して高い金利が設定されています。
変動金利は金利変動リスクを債務者が負っています。変動金利は短期プライムレート(≒日銀政策金利に連動)に連動する金融機関が多く、日銀政策金利に合わせて上下します。
今後、早々に現在の固定金利より高くなると想定しているなら、固定金利を選んだほうが有利、そのような状況にはならないと考えているなら変動金利を選択する、というのが基本になります
しかし、将来の金利の動きは誰にも分かりません。
10年先でも分からないのに、20年、30年も先の金利なんて神のみぞ知るものです。
どちらに動くか分からないのであれば、悪い目が出た場合に困窮する可能性がある融資額でマイホーム予算を組むのは、問題だと私は思います。
『どんなに上がっても、今の固定金利を上回るのは随分先だ、だから変動で良いのだ』といった意見も目にしますが、正直、そのようなことは誰にも分かりません。1%の固定金利引き下げ措置(最長10年)を考慮したら変動と逆転しているなんてケースは来年そうなっていても不思議ではないです。
将来にわたりキャッシュフローが読める固定金利を選択肢、固定金利で対応できる融資額の中で物件選定をする方が安心だと思います。
個人の金利予想
多くの方がご存じのとおり、過去20年の推移をみると、デフレ下の日本においては変動金利に優位性があったと言えます。
しかし、ここ1年で状況が大きく変わりつつあります。
2024年に入り、日銀はゼロ金利政策を解除し、政策金利の利上げを宣言しました。
これにより、為替の動きも円高方向へ逆回転し、ほぼ全ての金融機関で変動金利の利上げが表明されています。
直近2~3年の海外インフレに追従したコストプッシュ型インフレが万円したことで、世界のインフレに追従していくには日本もデフレ脱却しなければ大変なことになることは、認識されたと思います。
金利予測は、正直、直近10年ですら当てにならない部分はありますが、全体感として、上向きであり、政府のインフレ目標2%に向かっていかなければ国全体として世界に取り残され『安い日本』問題がより深刻化するリスクを抱えることになるため、政策金利も2%付近まで利上げしていくのが自然の流れのように感じています。
直近、民間の価格上昇から、給与上昇へ流れができつつあり、その循環が数字として確認できてくれば(民間の給与アップが統計値として確認できれば)、利上げがより進み易くなると思います。
変動金利を選択できる人
変動金利を選択できる人というのは、『金利が急激に上昇しても、生活が破綻しない人』すなわち、状況が不利になったら『いつでも一括返済が可能な人』に限られると思います。
つまり、ローンなど組まなくても現金でマイホーム購入が出来るような人が、「①住宅ローン減税との利ザヤを取る」というの理由でローンを組む場合には変動金利を選択するのもありです。
なお、金利上昇しても5年ルール、125%ルールにより支払額は急激な増減は生じませんので、いきなり生活が破綻するということにはならないのですが、その分残債が増えていきますから、後々、非常に厳しい状況に追い込まれることになります。(35年経過後の残債を一括返還できなかった場合には担保物件が召し上げられ、ローンを支払い続けたのに老後に家がない状態になる。)
その他、比較的影響が少ないケースとして、現金でマイホーム購入が出来る人が「手元資金の温存」を目的にローンを借りる場合が挙げられます。このケースでも、その気になれば一括返済ができるので、変動金利でも良さそうなのですが、私は固定金利の方が良いと思います。
というのも、「手元資金を温存」したい場合、その用途が決まっているからこそ、「温存」しているわけなので、金利が大幅に上がった場合に簡単に一括返済という選択を取れるかというと微妙だからです。
「手元資金を温存」したい理由として次のようなケースが考えられます。
①教育資金として残しておきたい
②投資資金の原資として残しておきたい(NISAの枠埋用等)
③長期投資における暴落時の待機資金
①~③いずれのケースでも、手元資金を枯渇させるのは望ましくない状況になります。特に①は手元資金があっても一括返済には回しにくいですよね。
この様に考えると、変動金利が有利になるのは、『当面使う予定のない待機資金が十分にあり、住宅ローン控除(0.7%)と変動金利(0.4%前後)の差分で利ザヤを稼ぐ』というケースだけで、それ以外の人は固定金利を選ぶ方が優位性があると考えます。
なお、②の様なケースでは、投資利回りと住宅ローンの利ザヤを取ることで、資産拡大を狙っているわけです。どの程度の利ザヤが稼げるかを見てみると、住宅ローンの固定金利は2024年10月現在は2%前後が最安値で設定されていますが、これは全世界インデクスの平均利回り(約7%)や全米インデックスの平均利回り(約9%)に対して十分小さいといえます。
もちろん、変動金利ならば当面は更に利ザヤが稼げるわけですが、固定金利の場合の利ザヤでも5~7%と十分に大きいので、変にリスクを取る必要はないのではないかと思います。
まとめ
変動金利と固定金利のどちらが有利か?というテーマで私の考えを記事にしました。
私の場合、幸せになる為に買ったマイホームのローンで、将来不幸になるようなことがあっては本末転倒なので、無理はしてはいけないという前提にたった意見になりますが、
2024年10月の状況では、多くの人にとっては固定金利を選んだ方が良い
というのが私の考えになります。
もちろん、どちらが正解なのかは、その人の置かれている状況や返済計画により判断が変わりますし、結局のところローン返済し終えるまで分かりません。
一つの考え方として、参考にしてもらえると幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
【補記】状況に応じた判断の変化の例
例えば、『現在50歳で当面は35年ローンで月々のキャッシュフローを悪化させないようにして、10年後に退職金や蓄財していたお金で一括返済することを考えている』ようなケースなら、10年間くらいなら激しく金利が増えても平均したら変動金利の方が有利なようにも思うので、そういう選択肢もありです。
今後、固定金利の水準が3%を超えるようになってくると、従前のように、「出来るだけ頭金を入れて借入額を減らす」になるのかも知れませんし、その段階でも借入時の変動金利が1%以下の水準を維持しているようなら(=基準金利に対する金利優遇幅が大きく拡大している)、変動で借りるのが良いとなりそうです。
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